感染症胃腸炎(特にノロウイルス)


毎年冬になると感染症胃腸炎が大流行しています。
道南地域でも今年の11月頃から医院を受診する患者さんが目立って増えています。
感染原因として多いのが、小児のロタウイルスと成人のノロウイルスです。
現在流行っているのは、殆どがノロウイルスによる感染症胃腸炎と思われます。
ノロウイルスは牡蠣などの貝類に付着しており、これを生で食べたり素手で触ったりしてヒトに感染します。
ウイルスは消化管に入って爆発的に増殖し、わずか1〜2日後には腹痛や発熱、激しい下痢や頻回の嘔吐が見られます。
これらの症状は本当に辛いもので、毎年老人福祉施設などでは集団感染が多発し、死者も多数出ています。
またノロウイルスは感染力が非常に強く、有効な抗ウイルス薬やワクチンはなく、また症状が軽快した患者からもウイルスが1〜2週間も排出され続けますので、家庭や施設などではすぐに二次感染、三次感染を起こしてしまいます。
感染した場合は、有効な治療法はなく、対処療法になります。
最悪の場合は、嘔吐や下痢に伴う脱水で、ショックを起こして死亡する事もあります。
特に乳幼児や高齢者は注意が必要です。
最も大切なポイントは、何回吐いても下痢しても水分をこまめに摂り続けるという事です。
吐いたり下痢する事を恐れて、飲んだり食べたりしない方が多数いらっしゃいますが、非常に危険です。
水分の補給には、電解質を含んだスポーツドリンクやOS-1®などの経口補水液が最適です。
もし発症したら早急に医療機関を受診して下さい。
ノロウイルスによる胃腸炎の腹痛、発熱、嘔吐、下痢などの症状は本当に激烈で、生命の危機を感じる程です。
当院では患者さんが来院されたら、直ちに制吐剤、止痢剤、鎮痛解熱剤、ビタミン剤などの入った点滴を開始します。
点滴を開始すると、症状はすぐに軽快し、点滴が終了する頃にはすっかり元気になり、笑顔で帰宅される方が殆どです。
ノロウイルスは感染力が非常に強い為、予防はかなり困難です。
特に患者さんの吐物や便の処理には注意が必要です。
必ずマスク、エプロン、ビニール手袋を使用し、汚染部位や便器などは塩素系の消毒剤で消毒して下さい。
患者さんが触れたトイレのドアノブなどにもウイルスは付着している可能性があります。
勿論こまめに手洗いやうがいを行う事も大切です。
ノロウイルスは毎年冬期間の、11月〜2月にかけて大流行を繰り返しますので注意が必要です。