後悔しないがん治療


最近芸能界では、著名人ががんで死亡するケースが相次いでおり、一般の方の間にも動揺が広がっています。
特に32歳という若さでスキルス胃癌で亡くなったフリーアナウンサーの黒木奈々さんと、
肝内胆管癌で54歳で亡くなった女優の川島なお美さんのケースは大変衝撃的でした。
また最近タレントの北斗晶さんが進行した乳癌で、乳房全摘出手術を受けたとのニュースにも接し、一般的の方にもがんに対する不安が広がっています。
日本人の2人に1人はがんにかかる時代になっており、がん治療は決して他人事ではありません。
私は医学部卒業後、約40年間がんの診断、治療に携わってきており、消化器、甲状腺、乳腺などのがんの手術も多数手掛けてきました。
また森町で診療を開始して30数年の間に、数百名のがん患者さんを発見し、
10年以上再発もなく元気に過ごされている方も多数いらっしゃいます。

私のがん治療に対する考え方を述べたいと思います。
最近、がんの放置療法を勧める本がベストセラーになっている様ですが、この様な話は決して信じてはいけません。
がんを放置したらどんな悲惨な結果になるのか事実を知って欲しいと思います。
まず消化管のがんの場合は、出血し、貧血と栄養障害に陥ります。
また進行すると通過障害が起こり、食事が摂れなくなったり、腸閉塞となり、どちらも開腹手術が必要となります。
また乳癌を放置すると、がんが胸壁全体にガチガチに浸潤し(鎧状癌と言います)
巨大な腫瘍を形成し(外科医の間では花が咲くと表現しています)
猛烈な悪臭を伴う分泌物が流出したり、肺に穿孔を起こしたり、大出血する事もあり、本当に想像を絶する悲惨な状態に陥ります。
とにかくがんと診断された場合は、なるべく早期に手術、抗がん剤、放射線などの治療を開始する事が大切です。
この3つの治療法以外の方法(例えば食事療法や民間療法など)で癌が治る事は決してありません。
先日亡くなった女優の川島なお美さんの場合は、人間ドックで肝内胆管癌が発見されたのですが、手術を受けたのがその半年後との事で全く理解に苦しみます。
もう少し早く手術を受けていれば完治もあり得たかもしれません。
いずれにしてもがんを放置すれば早晩悲惨な状態に陥り、結局手術が必要になる場合が殆どです。
がん治療で後悔しない為には、なるべく早期に手術などの治療を開始する事が何より大切です。